大腸がんの治療対象となる人の8割は、70代です。
これは、
（１）環境因子に長間さらされている
（２）老化から異常細胞を生みやすい
（３）免疫力が低下しているから、だといえます。
男女差はありませんが、直腸がん患者には男性のほうが多く見られます。40歳以下でも、大腸がんが発症するケースがあります。たとえば、「家族性大腸ポリポージス」や「遺伝性非ポリポージス大腸がん」です。
「家族性大腸ポリポージス」は、染色体異常や優性劣性遺伝などの遺伝によるもので、遺伝子を受け継いだ方の6割がかかるといわれています。症状は大腸にポリープが数千、数万と多発し(ポリポージスと呼ばれる)、放置しておくと100パーセントの確率でがんになります。
これまでは、患者が家系にいる場合、男性でも女性でも20歳になったらあらかじめ大腸を全部摘出して、人工肛門を取りつけていたほどです。いまは遺伝子診断ができるようになったため、発がん性の遺伝子のDNAを持っているかどうか事前にわかるようになりました。
また、該当する遺伝子が検出された場合でも、大腸を摘出するときに、できるだけ人工肛門ではなく、自然な旺門機能を残すような手術をしています。「遺伝性非ポリポージス大腸がん」という疾患も遺伝によるもので、定義があり、そのひとつに40歳以前に親兄弟3人以上が発症していることがあげられます。
「家族性大腸ポリポージス」のように、染色体異常や優性劣性遺伝で発症するということではありません。
また、症状もポリポージスのように多発性ではなく、腫瘍がひとつできるという孤立性のタイプです。このように、名前が似ている「家族性大腸ポリポージス」とは異なる疾患ですが、どちらも日本全国の家系数が200～300という、大変まれなものです。
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