人間のからだのなかには6O兆個の細胞があり、分裂・増殖をくり返しています。
この分裂・増殖するときにエラーがおこり、それががん細胞の発生の原因になりますので、毎日、3OOO個から5OOO個のがん細胞ができているといわれます。しかし免疫システムなどが働いているため、がん細胞は自然死してしまって実害はありません。ところが、このような防衛システムの網の目をすりぬけて、生きのびるがん細胞が出現することがあります。
そして、生きのびたがん細胞もまた分裂・増殖します。正常な細胞には寿命があり、一定の回数分裂すると、もう分裂しないようになります。ところががん細胞は無限に分裂・増殖するところに問題がおこります。
がん細胞も正常細胞とおなじく、血管から酸素と栄養の補給を受けて増殖し、やがて直径1センチばかりの立体になります。そのときの重さは1グラムに達し、がん細胞の数は約1O億個になるといわれます。現在の検査方法では5ミリ以下のがんを発見することができないので、発見されたときには少なくとも5ミリ以上の大きさがあったと考えなければなりません。
がん細胞のいちばん困る性質は、まわりの組織に広がることと、べつの組織や臓器に転移して、そこでまた増殖することです。まわりの組織にじわじわと広がることを「浸潤」と呼び、べつの組織や臓器に広がって増殖することを「転移・再発」と呼んでいます。
ひとたび遠隔転移がおこれば、もとのがんだけを治療しても意味がありません。最初の微小ながん細胞が1センチにまで成長するのに、5年から1O年もかかるとされています。すい臓がんなどをのぞいて、がんのかたまりが1センチ前後のときは、転移・再発がおこることはありません。
それでも7O%の人に微小転移がおこるといわれますが、そのような転移の99.9%は死滅するとされています。がん細胞が1センチをこえて大きくなると、もう、ふつうの血管から酸素と栄養をとるだけでは足りなくなり、自分で血管をつくって(血管新生)太い血管に結びつき、必要な酸素と栄養をとろうとします。
それと同時に、がんが大きくなってはがれやすくなったがん細胞が血管に流れこみ、それが転移のきっかけになります。血管にはいったがん細胞は、血液の流れにそって広がります。われわれのからだのなかにはまた、血管にそってリンパ管が張りめぐらされています。
リンパ液とはリンパ管を流れる液体のことで、リンパ液の役割は(1)全身の細胞から老廃物を回収して血管にもどすことと、(2)からだのなかにはいってきた細菌やウイルスのような異物をチェックし、血管のなかにはいりこまないようにすることと、(3)リンパ球をつくりだすことです。
リンパ管が合流するところには、直径2ミリから30ミリのリンパ節があり、そこが異物を濾過するフィルターの役割をします。臓器のまわりに数珠のように並んでいるリンパ節は、約8OO個あるといわれます。がんが大きくなるとリンパ管にも浸入し、リンパ節で増殖します。
そして、リンパ管を伝って転移しますので、手術のときに、がんが転移している近くのリンパ節も切除(リンパ郭清)しなければなりません。抗がん剤などの薬剤を使うばあい、がんがどこに転移していても、原発巣とおなじ薬を使って治療するのは、転移した細胞の性質が原発巣とおなじであることによっています。
肺と肝臓は血管が網の目のように走っている臓器で、さらに血管の最終コースである毛細血管が張りめぐらされています。このため血流に乗って流れてきたがん細胞がひっかかりやすく、肺も肝臓も転移・再発がおこりやすい場所となっています。またがんによっては、転移しやすい臓器があります。
たとえば、胃がんや大腸がんは肺と肝臓に転移しやすく、乳がんは肺や脳や骨に、肺がんは脳に転移しやすいことが知られています。また前立腺がんのように、骨に転移しやすいがんもあります。
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