セツキシマブは、大腸がんが手術できないほど進行した場合や再発した場合の治療薬として2008年7月、承認されました。
がん細胞を直接攻撃するのではなく、がん細胞の表面に増える「上皮成長因子受容体(EGFR)」に結合し、がん細胞の増殖を抑える薬です。ところが、大腸がん患者の4割には、がん細胞内で増殖の信号を伝えるKRAS(ケイラス)という遺伝子に変異があり、変異した遺伝子は自ら細胞増殖の指令を出すようになります。
このため、KRAS遺伝子に変異がある患者では、セツキシマブを用いて受容体を抑えても、がん細胞の増殖を防ぐ効果がありません。米国などの試験によると、KRAS遺伝子に変異がない進行がんの患者にセツキシマブを使った場合、生存期間は9.5か月と、使わない場合の4.8か月より約2倍長かったことが分かりました。
一方、KRAS遺伝子に変異がある患者では、セツキシマブを使った場合(4.5か月)と使わなかった場合(4.6か月)で差がありませんでした。セツキシマブの副作用には、発熱や血圧低下、湿疹などがあります。また、週1回の点滴で4週間続けた場合には薬剤費だけで約62万円(患者負担は3割または高額療養費の限度内)と高額です。
KRAS遺伝子の検査は、手術などの際に採取した組織を用いるため、患者の特別な身体的な負担はありません。患者によって効くタイプかどうかを事前に調べる検査は、ほかにも数種類の抗がん剤で行われています。
乳がん治療薬のトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)は、がん細胞に特定のたんぱく質が増えているかどうかや遺伝子を調べたうえで、効果のあるタイプの患者に使用されます。肺がんに使う抗がん剤ゲフィチニブ(商品名イレッサ)は、EGFR遺伝子に変異があるタイプの患者で、効果が高いとされています。
また、肺がんや大腸がんなどに使われるイリノテカン(商品名カンプト、トポテシン)では、白血球減少や下痢などの副作用が特に強く出るタイプの患者を事前に調べる遺伝子検査が、保険適用になっています。
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