よく知られている大腸がんのリスク要因に、大腸の内壁にできる「ポリープ」があります。
ポリープの定義はなかなか難しく、大腸内壁の粘膜組織が増殖して大腸内に突出した部分で、良性(周囲に広がっていない)なら、何でもポリープと呼びます。しかしときには、ポリープとされたものが悪性(がん)であったという例もあります。
また、「APC」という遺伝子(がん抑制遺伝子)に生まれつき変異をもつ人は、「家族性大腸ポリポーシス」という病気を発症します。この遺伝病をもつ人は、20歳くらいまでに、大腸内壁に数百～1000個ものポリープがカーペット状に生じ、放置するといずれはがんへと進展することが明らかになっています。
この場合、かなり若くしてがんを発症することもあります。その他の大腸がんのリスクをあげると、
①高脂肪(動物性の飽和脂肪に富む)で かつ食物繊維の少ない食習慣の人、
②座業(デスクワーク)に従事する人、
③40歳以上の人(60歳代で発症率はピークに達する)、
④乳がんや卵巣がんの病歴をもつ女性、
などとなっています。
動物性脂肪を大量に摂取しているアメリカ人が大腸がんになりやすいことから、しばしば食習慣と大腸がんの関係が強調されています。それに対しては反論もあるものの、少なくともアメリカ在住の日本人でアメリカ的な食生活を送っている人は、日本に住む日本人よりも高い確率で大腸がんが発生するというデータがあります。
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