乳がんの治療は、がんを摘出するだけではなく、失われた乳房を再建して完成するものという考え方が、欧米では普通になっています。
乳房再建の技術も進み、アメリカでは無理に乳房温存療法を行うより、乳房切除術と乳房再建術を組み合わせて行う人が増えているといいます。
しかし、日本ではまだ乳房の再建まで行う人は少数派です。文化的背景の違いもありますが、乳房再建を行うのは形成外科の医師で、これを専門に行う医師も少ないのが現状です。
また、人工物(インプラント)を入れて乳房を再建する手術は、現在、日本乳癌学会で保険適応を求めているところで、まだ保険治療が認められていません。自費扱いなので、患者の経済的な負担も軽視できません。
そういう意味では、まだ再建に関しては日本は遅れているといわざるを得ないのです。
■乳房再建の時期
乳房再建には、がんの摘出と同時に再建も行ってしまう一期再建と、がんの摘出手術とは別に、術後、数か月~1年後に再建を行う二期再建があります。一期再建は、1度の手術で終わるのがメリットです。
内視鏡などで皮膚や乳頭を残して乳腺組織を全摘(皮下乳腺全摘術)した場合は、切除した乳腺組織と入れ替わりに
自分の組織や人工物を入れれば、かなりもとの状態に近く再建できます。
ただ、乳がんの手術前は、誰もがんを治すことに精一杯で、乳房再建のことまで考えるゆとりがないのが一般的です。加えて、費用の問題もあります。人工物を詰めて乳房を再建する乳房再建術は自費治療になります。
これを乳がん手術と一緒に行うと、自由診療と保険診療を混合して行うことが認められていない現状では、乳がん手術まで自費扱いになってしまうのです。これは、経済的に大きな負担になります。
二期再建の場合は、確かに2回手術を受けなければなりませんが、乳がん手術がすんで落ちついてから、改めて再建手術に入ります。自分にとっての乳房再建の必要性や方法、費用の問題など、二期再建ならば落ちついてゆっくり考えることができます。
また、形成外科の専門家を探すこともできます。がん手術と一緒に再建を行う場合、治療チームに形成外科医が加わっていないと、がんの手術を行う外科医が一緒に再建術も行うことがあります。
乳房再建を専門とする形成外科医が少ない現状では、こうしたことも十分に考えられます。再建といっても、がん治療のために受けた手術と再建の方法、あるいは再建を担当する医師の技術によって、出来上がりはかなり違います。
どんなふうに再建されるのか、きちんと自分で確認したうえで手術を受けることが大切です。美容的な問題なので、人によって出来上がりに対する受け止め方も違います。
乳房再建が、局所再発の発見を遅らせる危険があると以前はいわれましたが、画像診断などが発達した今では、乳房再建による再発の発見の遅れはないと結論されています。ですから、この点は心配する必要がありません。
それより、後悔しない再建術を受けることを考えることが大切です。
■乳房再建の方法
乳房再建の方法には、大まかに2つの方法があります。自分のからだの一部を使って再建する方法とシリコンなどの人工物(インプラント)を埋め込む方法です。シリコンといっても、現在一般に使われているのは、「ソフトコヒーシブシリコン」といって安全性や感触などが改良されたものです。形や大きさもさまざまなものが開発されています。
まだ、保険適応は認められていませんが、現在、日本乳癌学会が承認を求めているところです。
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