人間のがんの原因となるウイルスは、これまでに5種類見つかっています。
このうち、ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がんの原因となることで知られています。国際的に行われた調査では、子宮頸がんおよびその前段階の状態(前がん病変)の患者からは、75~100パーセントという高い確率で、病変部の細胞からパピローマウイルスが検出されました。
この小型のウイルスは遺伝物質としてDNAをもち、これまでに100種類以上発見されています。そのうち子宮頸がんやその前がん病変を引き起こすと見られるタイプは少なくとも12種類あり、「リスク型」と呼ばれています。
しかし、本当に危険なパピローマウイルスはさらにその一部です。子宮頸がんの患者の5年生存率を調べた報告によると、16型と呼ばれるウイルスに感染している患者の生存率は約60パーセント、18型に感染している患者の生存率は約40パーセントでした。これに対し、他のリスク型のウイルスに感染した患者では、100パーセントの生存が確認されています。
なお、子宮頸がんの患者ではないがウイルスに感染している人の割合は、日本では5パーセント程度です。では、パピローマウイルスの感染者のうちどのくらいががんになるのかというと、アメリカで行われた感染者の追跡調査によると、調査から2年後、パピローマウイルスの感染者のうち28パーセントに子宮頸がんの前がん病変が生じました。
しかし非感染者ではわずか3パーセントでした。こうして見ると、リスク型のウイルス感染者(とくに16型と18型)が子宮頸がんの発症の原因となっていることは明らかです。しかし、パピローマウイルスに感染しているかどうかは、血液検査では調べることができません。
人間の体には、侵入者を排除するための「免疫」というしくみがあります。ふつうウイルスが体内に入り込むと、免疫はウイルスの殻の表面にあるたんぱく質を見分けて「抗体」という物質をつくり、それによって侵入者を攻撃します。
そこで、たいていの場合は、血液中の抗体を調べれば、ウイルスに感染しているかどうかがわかります。ところがパピローマウイルスは、多くのウイルスとは違って、遺伝物質であるDNAが殻におおわれていません。
そのため、パピローマウイルスに感染しても、人間の体内には抗体ができないのです。このようなことから、パピローマウイルスを検出するには、遺伝子診断がたいへん役に立ちます。このウイルスはふつう、性行為によって感染します。
子宮頸部に感染したウイルスは、細胞の内部に入り込み、そこで宿主の染色体に自分のDNAを組み込んでしまいます。そこで、子宮頸部の粘膜を採取して遺伝子診断を行えば、ウイルスに感染しているかどうかを簡単に調べることができます。
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