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がんに良い成分「β-カロチン」

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β-カロチンに代表されるカロチノイドは、植物や海藻、魚介類などの色素を担っている重要な化合物です。

植物内では葉緑素とともに根や茎、葉、果実に広く分布し、光を吸収して赤色、橙色、黄色などの鮮やかな色を表します。自然界には600種類以上のカロチノイドが存在することがわかっていますが、そのうち、私たちが食品として摂取し体内に吸収されるのは十数種類です。

従来行われてきたカロチノイドの研究といえば、ビタミンAの前駆体(体内でビタミンAに変わる)として最も効果的に働くβ-カロチンに関するものが中心でした。

ウナギ、レバー、卵、牛乳など動物性の食品に豊富なビタミンA(レチノイド)は、粘膜を強化する働きがあることから、肺がん、乳がん、食道がん、喉頭がん、大腸がん、胃がんをはじめ、ほとんどすべてのがんに対する予防効果が確認されており、とくにイニシエーション(初期)の段階よりもプロモーション(促進期)に作用することがわかっています。

ほかにも、免疫力を強化して病原菌が体内に侵入するのを防ぐ、肌組織のターンオーバーを促進して美肌づくりに役立つ、目の角膜の働きを強化するなど、多彩な生理機能を兼ね備えていることが知られています。

ただし、脂溶性のビタミンAは体内の脂肪組織や肝臓内に蓄えられる性質を持つため、たくさんとりすぎると肝臓が腫れたり、頭痛や吐き気などの過剰症が現れることがわかりました。そこで注目されるようになったのが、色素成分であるにもかかわらず体内に吸収される過程で一部がビタミンAに変換されるα、β、γなどのカロチンです。

なかでもβ-カロチンは、1つの分子から2つのビタミンAが作れるという効率のよさに恵まれ、α、γカロチンよりも高いビタミンA効力を持つことから、カロチノイドの代表と位置づけられてきました。

カロチノイドは、とくにプロモーションの段階でがん化を促進するプロモーター因子を抑えることがわかっていましたが、じつはそれだけでなく、細胞を攻撃する活性酸素の毒性を打ち消す抗酸化物質としての働きが強いことも明らかになりました。
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